鉋台の種類

「鉋や寸八」の樫材は、製材して3年以上寝かせ安定した樫材を用い製作いたしております。鉋台の樫材は、主に白樫、赤樫、本赤樫が使用されており、樫の木の目は芯より外側に向かって放射線状の木目を持ち、狂いの少ない安定した材料として鉋台や、道具の柄に特に用いられております。

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柾目

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板目

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柾目追い柾目

鉋台の性質は、鉋台を台尻や台頭から見たときの木目により異なります。樫の木の目が柾目(東海地方から九州地方に多く用いられています。)の場合、中心から放射線状に年輪の筋が入っているので目が均一で、台が減りにくく狂いが少ない。しかし割れやすいともいわれ。板目の場合、台の減りが早いが割れにくい。追柾目は、左上から右下へ斜めに年輪の筋が入っており、柾目と板目の両方の特徴をそなえるといわれています。

鉋台には、普通口、徴仕上げ用として口を狭くした「包み口」、口に黒檀、紫檀、赤檀を埋木した「口埋め台」、埋木をネジ調節してスライド式にしたものがあります。また、台割れを防ぐため、台頭に黒檀、紫檀、ボルト等で補強をした「補強台」もあります。 ※「包み口台」とは、昔一枚鉋は本包み口でしたその名の残りと思います。(木っ端返し周辺の口が狭い。)「包み口」は、高価な鉋に多く使用されています。

掘台普通口

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普通口の木っ端返し

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掘台包み口

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包み口の木っ端返し

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■油台とは、鉋台に油を含ませることにより鉋台の割れ止めと、鉋台の滑りがよくなり鉋台の減りを抑えることができます。

鉋刃と台の標準寸法

  • 鉋身の鋼日立金属製「安来鋼」は、青紙、白紙、黄紙とありますが、青紙0号は一番硬く脆い鋼であり、白紙は青紙よりも粘りがあり、研いで研ぎやすい鋼といわれております。
  • 「サイズ表示」は鉋刃の実寸で、「寸」表示は鉋刃で削った時の屑の出幅です。また、大鉋以外の小鉋は鉋刃の実寸サイズ表示となり通称となります。
  • 大鉋の場合初心者の方には、刃幅60mm(寸四)~65mm(寸六)の物が扱いやすいです。特に女性の方は手が小さい分60mm(寸四)はとても扱い易いです。
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(A)鉋身幅
(B)削り幅

鉋の種類身幅(A)寸表示削り幅B鉋台長さ cm換算一寸=3.03cm
小鉋36mm寸二31mm5寸5分~7寸台
42mm寸四36mm5寸5分~7寸台
48mm寸六43mm5寸5分~7寸台
54mm寸八48mm5寸5分~7寸台
大鉋50mm寸ニ44mm7寸台
55mm寸三48mm8寸台
60mm寸四54mm9寸台
65mm寸六57mm9寸5分台
70mm寸八63mm9寸5分台
80mm二寸70mm尺台
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鉋身(刃)の角度

■「鉋鉋や寸八」の鉋身(刃)勾配は、8分5厘で台仕込みしてあり、研ぎ角度は約27~28度(用途や好みにあわせて角度を仕立ててください。)で仕上げてあります。

台仕込み勾配参考
・8分勾配:一般材と硬木を両用
・8分5厘勾配:一般材と硬木を両用
・9分勾配:硬木専用で薄削りには不向き

材の硬度 適用材料切削角 仕込み勾配鉋刃角度(目安)
軟材  桐、桧、杉、松、サワラ、他針葉樹31~38° 約20°
中硬材 楢、タモ、欅、桜、栓、シオジ、チーク、マホガ二、他広葉樹 39~42°約25°
硬材紫檀、黒檀、黒柿 45~90° 約3°

鉋、鑿を購入後、最初にする事!

鉋、鑿は購入しただけでは使用できません。使用できないということは調整が必要な道具です下記を参考にして調整してください。

鑿(ノミ)の仕込み

購入後ノミをそのまま使用しますと、柄が縦に割れたり、すり減ったりすることになります。これを防ぐためには、次の作業を行ってください。柄に玄翁を沿わせるようにして冠を叩き、冠をはずします。次に叩き台や金床の上などで柄を回転させながら、玄翁で柄を叩いて木殺しをします。次に鑿を叩き台や捨て材などの上に立てしっかりと支えながら、木殺しをした柄に冠を叩いて入れます。冠から柄は1~2mm程度出します。次に柄尻を水に漬けてから、玄翁で柄の頭を外側に広がるように叩きあげれば仕立ては完了です。

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鉋台(カンナ)の仕立て

鉋は使う目的に応じて仕立てます。粗く削る為の仕立て方を「荒仕工(あらしこ)」、中間削りの「中仕工(ちゅうしこ)」、そして仕上げ削りの「上仕工(じょうしこ)」の三つの仕立て方があります。

仕込みによる効率のよい削り!
例えば、板材の平面を出す場合、初めに板材の凸面を、刃をやや多めに出すように調整した荒仕工の小型鉋で木目方向と直角に「横擦り」します。次に木目方向に「縦擦り」して反りを取り、次にほんの少しだけ刃が出るように調整した、上仕工鉋で表面の凹凸を取って平面を作るようにするなど、二丁の鉋を使うことで効率的な作業となります。

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鉋の仕込み

用意するもの、スピンドル油やマシン油(油なら良い)、金属やすり、鑿、玄翁。

1.刃の出し入れがきついときは
鉋身(鉋刃)が鉋台に当たる鉋の表なじみ部分に、油を塗り鉋台に軽く叩き込みいったん鉋身を抜く、表なじみに鉋身の当たる部分に黒い当たり痕がつきます。 適度に表なじみの当たり痕の部分をヤスリでこするか、鑿の刃を直角にあて少しずつそぎ落とします。表なじみの油が染込んだ黒い部分が取れたら、再度同じ作業を繰り返すことにより、鉋身が8~9分どうり入るようになれば表なじみの調整は終わりです。あまり表なじみを削り過ぎると、ゆるくなってしまいますので慎重に行ってください。また、使っているうちに緩くなった時は、表なじみにペーパー(はがき等)を糊や接着剤で貼り鉋身を入れたまま固め、再度表なじみの調整をしてください。押さえ溝は鉋身が左右に少し動くことを確認してください。動かない場合は押し溝を鑿で少しずつ削ってください。

2.下端の調整
下端の平面を調整するときは、鉋身(鉋刃)を8割程度入れた状態で調整します。鉋身(鉋刃)が入ることで下端にアタリが出ますのでこの部分を削り落とします。鉋仕立ての画像(上部)のように用途に合わせ「荒仕工」「中仕工」「上仕工」の形状になるように、立ち鉋(台直し鉋)や鑿でそぎ落とし調整してください。鉋下端の対角、平行左右と中心に下端定規ストレートエッジ)を当て繰り返しの調整を行い正確な下端を作ってください。ある程度落としたら試しに削ります、当たりがあると下端の当たる所は光沢が出ます、これが無くなるまで削り落とします。繰り返し調整して仕上げれば必ず「削れる鉋」が生まれます。

下端定規(ストレートエッジ)は、こちら

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鉋を大切に使用する為のお奨め!

  • 作業中でも直射日光や、水の当たる場所を避けてご使用ください。 ■作業中に万が一水に濡らした場合は、直射日光の当たらないところで自然乾燥させてください。
  • 作業中、鉋を置くときは下端を横にして置いてください。
  • 使用後は、鉋刃の刃先を鉋台から少し引っ込めた状態(8割程度)で、鉋台の狂いを避けるため直射日光を避け、湿度の少ない場所で保管してください。鉋台を油台にしておくと作業性はもちろんのこと鉋台の狂いも避けられます。同時に、水分を含みづらくなり保管上もとてもお奨めです。
  • 鉋を長期間ご使用にならない時は、鉋刃を錆から守る為鉋台より鉋刃を抜きマシンオイル等を塗り、鉋刃の刃先を鉋台から少し引っ込めた状態(8割程度)で保管することお奨めします。
  • 鉋をおろしたての場合や、長期間未使用の場合は使用時に鉋台の調整を必ず行ってからご使用下さい。